将棋の魅力再考

大きな大会が終わって一段落。ブログ再開。

 

以前に書いた将棋の魅力について。自分で再度読んでみたが、どうも今一つである。さっぱり「響かない」のだ。言葉がきれいすぎて、偽善的な臭いがプンプンしているではないか。魂が浄化されるって言われてもなぁ…そうだ。私の覚えたての頃からの経験を書いてみようか。ふと、そう感じたのだ。

失敗だらけだがそちらの方がよっぽど面白そうだし、「響きそう」である。

 

というわけで、大会エッセイ③を書き終えたら覚えたての頃から振り返ってみます。

大会エッセイ③はいっそのこと、YouTubeで動画にしてみるのもありかなと。

これからは少しずつ「自分」を出していきます。

 

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大会エッセイ②

手を離した瞬間に悪手と気づくのはどうしてだろうか?背筋が凍りついたと同時に、顔面から血の気が引くのを感じた。私は、△76歩と突いた瞬間▲97の角が53まで届くのを完全に見落としていたのだ。ノータイムで▲54歩と取り込まれて、暗澹(あんたん)とした気持ちになった。

ここで、正座から胡座に座り直す。長考に入る合図だ。悪手を指した後の心の声を聞いてみよう。

「はぁ…やっちまったわー。全然見えてなかった。ついてねーなぁ…うっかり一発で終了とかどんだけ寒いんだよ。で、どうすんの?これ。」

悪手を指した後は、いつもこんな事を考えている気がする。逆に優勢の時は、「必勝すぎる。超必勝」と思いながら指して逆転されることが多いのだが…

とりあえず、この局面は同銀と取るしかなさそうである。間違いなく▲53歩がとんでくるだろう。飛車と銀の両当たり。どう見ても一刀両断されているではないか。以下、飛車を逃げて銀を取られてそこでこちらも44の銀を取って、52歩成で必敗形の完成…考えているうちに目眩がしてきた。

しかも考えれば考えるほど、一本道で変化の余地がなさそうである。

 

そんな事を考えながら力なく同銀と着手。以下、▲53歩△72飛車▲54飛車△66角▲52歩成と進行。

飛車の逃げ場所は遠くがセオリーだが、72がささやかな工夫。これが吉と出るか凶と出るか。と金を作られていよいよ敗勢かと思ったが…続く

 ※私が後手番です。図面の▲と△が逆になりますm(__)m

http://shogipic.jp/v/CMY

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大会エッセイ①

大会前夜。「もしかしたらこれが最後の大会になるかもしれないな…」ベッドに横になりながら、漠然とそんな事が頭をよぎった。もちろん根拠はない。これからも大会に出続けると思う。だが、ふと、そんな予感がしたのだ。明日は全てを出しきる、そう心に刻んで眠りについた。

 

大会当日。私は、験を担ぐ方だ。服や扇子や食べ物などいろいろある。しかし、今回は使う扇子は事前に決めてあった。木村一基先生の「百折不撓」今の私にピッタリだと思った。会場に到着して抽選。いきなり屈指の強豪を引き当てる。今日は厳しい戦いになりそうだ。心の中でため息をつく。

ゆっくり駒を並べながら、気合いを高める。普段はものすごく緊張するのだが、不思議と落ち着いていた。「お願いします」深々と一礼して対局が始まった。

 

後手番の私が得意の居飛車穴熊を採用したのに対して、相手の方は66銀型四間飛車で対抗。図は▲75歩と突いたところ。ここが急所と判断したっぷり時間を投入。主な読みは、△同歩には▲97角が飛んでくるので△86歩を利かすかどうか。しかしこれは、一歩を渡す弊害が大きそう(後の端攻めの懸念)なのと▲85歩と逆用される危惧があり断念。よって単に△同歩に絞り、読みを再開。以下、▲97角△76歩▲75銀

△93角でどうか。以下、▲64歩からの銀交換には最後に△62飛車と角当たりに回る手がありなんとかなりそうだ。よし、これならいけそうだ。熟考した末の△同歩。ああ、それなのに。それなのに…ここから一瞬で転落を辿るとは夢にも思わなかった。続く 

※私が後手番です。図面の▲と△が逆になりますm(__)m

http://shogipic.jp/v/CMB

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「楽しみの共有」

時刻はわずかに正午をまわったところだった。休日のカフェは、いつになく賑やかだった。私は、久しぶりに会った友人の話に耳を傾けている。幸せな時間だ。

「あのさ、実は…」

ゆっくり述べられた言葉は、鋭く私の胸を打った。

 

私は将棋が好きだ。大好きだ。小学校の作文にははっきりと、「3度の飯より将棋が好き」と書いた事を今も鮮明に覚えている。当時を振り返ると、いくらなんでもと苦笑いしてしまうのだが、来る日も来る日も将棋に明け暮れていた。友人や仲間達と共有したあの時間は、本当にかけがえのないものだったなと、今も強く思う。

    やがて月日は流れ、情熱を注いだ私は上達して子供達に指導する立場になった。

毎週土曜日の、お昼から夕方まで。他の講師陣と共に子供達と接する時間はとても幸せだった。はじめのうちは。そう、はじめのうちは。

    いつ頃だったろうか?自分でも断片的な記憶しかない。しかし確実に、私の足にはまるで鉛でもついているかのような感覚が芽生えていた。しかも土曜日だけ限定で。

「せっかく土曜日休みなのに…金にもなんねーし、完全ボランティアだし。こんなことになんの意味もねーよ!」

雪がしんしんと降る中、車を運転している帰り道。そう叫んだ後に襲ってきた言い様のない虚無感は、生涯忘れることができない。

   その日を境に、手帳の土曜日は空白となった。自由を手に入れた歓喜。私はひたすら遊んだ。しかし、私は自由とは引き換えに大切な物を失ったことにも気づいていた。

 

「今から会えないか?」

友人からの突然の電話だった。あいつの方から連絡が来るなんて…軽い興奮を覚えながら私は約束のカフェに急いだ。

「最近、編み物にはまっててさ。妹の友達の子供に教えてるんだ」

「お前が!?」

信じられないといった私の表情を横目に、彼は微笑しながら続けた。

「一人でやってると、失敗とか成功で終わるけど、一緒にやってるとそれ以外の何かが産まれると思うんだ。同じ時間を、楽しみを共有することが大事なんじゃないかな」

丁寧に紡がれたその言葉に、私の中で化学反応が起きた。楽しみの共有、か。

そして今日は土曜日。もしかしてお前…

大きく目を見開いた私に、友人は軽く頷いた。

「悪い、俺行って来る!」

そう友人に告げて、私は颯爽と駆け出した。

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近況とこれから

更新していない間もアクセスがありまして、有り難いです。いろいろ書きたいことが沸き上がってきています。

この短期間でとても嬉しかったことや、幸運な出来事、また、悔しかった出来事や悲哀、と様々な感情が動きました。特に悔しかった出来事に関しては、近年稀に見る程のもので燃えるものがあります。どうやらクールには程遠いみたいですね、私の本質は。

 

久々に大会に出たので、その時の心情や局面についても書きたいです。またエッセイ風にしたいですね。

 それとは別に、エッセイを1つ書いたのでそれも載せたい意欲があります。

 それから、YouTubeで自分の実戦を題材にして、棋譜解説を考えています。現在、配信環境を調整中です。対象は中級位の方と考えていますが、それ以外の方にも楽しんでいただけたらなと思っています。

 

これからますます面白くなりそうで、とてもワクワクしています。素晴らしい出会いや出来事が訪れる予感もあります。楽しみです。

 

 

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「くそつまんねーブログだな」②

あいつには、ブログを開設したことは真っ先に伝えてある。にもかかわらず、だ。何も反応がないのはどういうわけか。

「ブログ読んでる?お前から反応がなくて、残念でたまらないよ」

「あー、見たよ」

なんだ、ちゃんと読んでるんじゃねーか!私は腹の中で毒づきながら指を速める。

「で、どうよ?まあ、無難なことしか書いてないからなー」

「全くだよ、反応しようがない」

反応しようがないっておいおい…さらに毒舌は加速してゆく。

「そもそも、あんな無難なことばっかり書いて心に響くか?くそつまんねーブログだな」

脳内にくそつまんねーがこだまする。つまんねーの上にくそがつくのかよ。

「確かに自分でも無難すぎて、文章が躍動してないとは思ってたよ」

「よくわかってんじゃん。逆にこんなつまんねーブログ書けるんだって感心したよ」

私がガラスのハートの持ち主だと分かっていて、この言い回し。砕いてもすぐ修復するのも折り込みずみというわけか。

そして、次の一言がとどめになった。

「お前がやりたかったのはこんなことじゃないだろう?ネットに伝説を残してくれ!」

なんていいこと言うんだ…そう思った瞬間、「黒歴史と言う名の伝説をなw」

 

あいつの愉快そうな笑顔が脳裏に浮かんでは消えた。そうなのだ。こんなのは本当に誰でもかける。自分自身の経験を、自分だけの熱い言葉で語る。そうだ!これだ!

持つべきものは毒舌の友人。私はそうひとりごちて、さっそく次の文章を作り始めた。

「くそつまんねーブログだな」①

明らかに私は高揚していた。まさか自分がブログを開設するとは、夢にも思わなんだ。

表現できる喜びと希望。どんな反応が返ってくるのだろうか?そんな事を思いながら、いろんな人に吹聴した。

 

それから数日。天下一将棋界のスーパースター、魚鱗さんから感想をいただいた。天にも登るとはまさにこのこと、至福の瞬間。本当に嬉しかった。

しかし、である。アクセス数や、吹聴したわりにはさっぱり音沙汰がないのである。なぜだ…?しびれを切らした私は、自ら友人や知人に聞いてみた。

「あー…ブログ読んでるよ」

「ブログ面白かったです」

どうにも、皆一様に奥歯に物がが挟まったような言い回しばかりなのである。

おかしい…私は釈然としなかった。渾身の想いで書いているのだが。

そうだ!こんな時はあいつに聞いてみよう!

急いでスマホを取り上げ、私はLINEの画面を開いた。続く