回り道~3度の飯より将棋が好き♪~

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広瀬章人新竜王

竜王戦が決着してから約10日あまり。

広瀬章人竜王の勢いが止まらない。

順位戦王位戦と連勝して今年の対局を終えられた。36勝11敗、勝率7割6分6厘は驚異的な勝率だ。

年明け早々には豊島二冠との順位戦があり、さらに棋王挑戦と今後の活躍から目が離せない。

 

広瀬先生といえば、当時の深浦王位に挑戦した第51期王位戦での大激戦が印象深い。四間飛車穴熊を連採し、見事に4勝2敗2千日手で王位を獲得。決着局となった第6局は、将棋大賞の名局賞にも選ばれている。

私自身、四間飛車穴熊はとても愛着があり、長年主力として苦楽を共有した間柄。

それだけに広瀬先生の活躍は嬉しく励みになった。

 

指し回しはもちろんだが、何より驚いたのがその駒組である。

穴熊にする場合、▲28銀とハッチを閉めた後は、▲39金までがセットだという概念が私にはあった。しかし広瀬流は、その39に金を寄せる1手を中央に使い、先行を狙い積極的にリードを奪いに行く。

私の中では升田幸三賞である。一生かかっても浮かばない構想に感動し、心酔した。

そして、王位獲得後に程なくして「四間飛車穴熊の急所」と「広瀬流四間飛車穴熊勝局集」が出版された。

どちらも面白すぎて、むさぼるように読んだ。特に勝局集は前書きを音読し、全50局を暗記するほど、盤に並べて何度も何度も再現した。その度に新しい発見があり、将棋の面白さを再認識したものだ。

また、以前に出版された「とっておきの相穴熊」はアマ強豪の遠藤正樹氏との共著でこれも名著であり、非常にオススメしたい1冊だ。

そんな事をいろいろ考えていたら、

当時の様子がまた知りたくなり将棋年鑑を紐解いてみた。

すると、1局の棋譜が目にとまった。

王位戦の挑戦者決定戦の羽生先生との将棋だ。この将棋は有名な▲22馬が炸裂した将棋、と言えば思い出される方もいるかもしれない。

ハイライトはこの場面だ。

平成23年将棋年鑑239ページ▲広瀬章人五段対△羽生善治名人(肩書きはいずれも当時)より棋譜の一部を引用」

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今、羽生先生が△47馬と金を取った所。

これに対して▲同銀は△57金があるので、私は▲同馬の1手だと思っていた。

ところが、広瀬先生は24分考えて▲同銀。え!?△57金にはどうするんだろう?羽生先生は△57金を選択。それに対してノータイムで▲55馬。銀がただなんだが一体これは…


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そして、羽生先生が△47金と取った場面。ここからまたもノータイムで▲22馬が鮮烈な一着。天王山の馬を捨てて、△同金に▲31銀。55角との連動もあり、一気に寄り筋に。一瞬の出来事に言葉を失った。

以下も流れるような手順で即詰みに討ち取り、制勝。

また、広瀬流の四間飛車が観れる日は来るのだろうか。楽しみは尽きない。

 

実は、広瀬先生とは5年前にお会いした事がある。子供大会の審判長で来県され、その時にお話しさせていただいた。

当時、四間飛車穴熊勝局集はいつもカバンに入れて持ち歩いていたので、感想と感謝を伝えると、広瀬先生の相好が崩れた。

「それはとてもありがたいですね。良かったらサインしましょうか?」

いいんですか?と驚く私をよそに、

「もちろんです。」

筆ペンを丁寧に、ゆっくり運び、文字を綴る広瀬先生。

私は緊張した面持ちと興奮でそれを見つめていた。

どうぞ、と言って渡された本に書いてあった言葉は

「飛躍」

一生の宝物となった。

その後、広瀬先生の指導対局を観戦。

柔らかく、丁寧に駒を運び、ほとんど駒音を立てずに指されていた。

子供へのアドバイスも優しく、褒められた子供は皆、とても嬉しそうな顔だった。

 

その後は、より一層広瀬先生の本を読み込み、四間飛車穴熊をエース戦法として確立。県内はもとより、他県の強豪とも互角に戦えたことは大きな自信となった。

最後に昔撮った四間飛車穴熊の動画を紹介。

対戦相手の魚鱗さんは、元大阪竜王名人、その他代表多数の超強豪。

え?紹介するからには勝ったのかって?

ハハハ、そこは動画をご覧いただけたら幸いですσ( ̄∇ ̄;)笑


[中級者向けVS天下一将棋会のスーパースター - YouTube

 

 

 

大山杯・アマ王将南東北予選⑦「暗転」

図は△35歩まで
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猛追を受け、リードが完全に消えた。△35歩に対して▲同馬は△58歩成がある。
「まずい…流れが悪すぎる…」
力なく▲14馬。後手はノータイムで駒音高く△23銀!馬に当てながらただ捨ての鬼手を放ってきた。
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「なぬ!Σ( ̄□ ̄;)」
まさか32の遊び銀が活きてくるとは…
時間切れ寸前で▲同馬。
後手は待望の△58歩成。
「そんなバカな…68歩の叩きは取っておけば良かったか…」
秒読みで反省したら終わりである。無機質なブザー音が容赦なく迫り来る。
手が見えない!私は慌ててある駒をむしり取った。
そう、決して触れてはいけない45にある桂馬を。
後手は残り2秒まで考えて、落ち着いた手つきで△同飛車成。それから駒台を丁寧に並べ直した。
そして、ずっと前のめりだったが、スッと背筋が伸びた。それと私の肩がガックリと崩れ落ちるのがほぼ同時だった。
もう、この将棋は…勝ちがない。
例えるならば、雨の日も風の日も、じっと耐えて丁寧に育ててきた大切な花が、開花間近で根本から折れてしまう感覚。
しかも折ってしまったのは自分、たった一手のミスで。全ての責任は私にある。
投げきれずにひたすら指す。ただひたすらに。
いよいよ私の玉に必至がかかった。
この対局も、この空間も間もなく終わってしまうのか。
「負けました」
はっきりとした声で投了を告げた。
「これ負けんのかよ…まじか…」
心の声をグッと飲み込む。
言葉が出てこない。頼む、なんかしゃべってくれ。
ただ、その願いも空しく、空間は静寂に包まれていた。あまりのひどさに私を気遣ってくれたのかもしれなかった。
「これが…」
私の指は23を差している。
「あ、ええ…」
消え入りそうなか細く小さな声だった。
感想戦は、次の進行もあったので短めに。
離席間際、相手の方が
「あまりに苦しい時間が長かったので」
苦笑いと共に心からホッとした表情が印象的だった。
総手数162手、持てる力は全て出しきった。
でも、やっぱり、勝ちたかった。

大山杯・アマ王将南東北予選⑥「躍動」

再掲図は△33歩まで
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以下の指し手
▲64歩△53金▲54歩△52金▲66銀△46歩▲53角
△45飛車▲35飛車△41飛車▲42歩△51飛車▲65飛車
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全軍躍動、自陣に遊び駒が1枚もない。
あの有名な台詞が頭にこだまする。
19香車「くっそ、誰だよおいてけぼり感半端ねーなとか笑った奴はw」
まずは▲64歩の取り込み。△同金は▲53角の両取りがあるので、△53金と辛抱。さらに▲54歩と叩く。△同金は▲63歩成があるのでやはり取れない。さらに△52金と辛抱。64と54に強力な攻めの拠点を作る事に成功した。
そこで、一転▲66銀と自陣に手を入れる。
この手は玉頭方面に厚みを作りながら、玉のコビンの守備力を強化した一手だ。具体的には55角や55桂馬を消している。これによって後手の持ち駒の威力を半減させる事に成功した。さらに4筋からのと金攻めから遠ざかっている点も見逃せない。一石二鳥だ。
秒に追われた後手は、やむを得ず△46歩と取り込んだが、その瞬間に▲53角と放り込む。これも△同金は▲同歩成で崩壊するので、△45飛車と耐える。この手は△25飛車の転回を狙った一着だが、ここで▲35飛車がクロスカウンター。▲66銀と一手ためたのは、45の地点に飛車を誘導するためだったのだ。
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△同飛車は▲同角成で必勝。△53金と根本の角を取っても、▲45飛車と取れる仕組みになっている。後手は29秒のブザー音と同時に△41飛車。▲42歩と飛車を封じ込め、△51飛車に▲65飛車。
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後手の陣形が最初からほとんど変わっていないのに対して、こちらは64歩、54歩、66銀、53角、35飛車~65飛車と連続で6手も有効手を指した事になっている。特に飛車は39の地点から、相手の手に乗りながら、主戦上の65の地点まで一気にワープした計算だ。バントあり、ヒットあり、そして豪快なホームランありの会心の攻め。
「これはいける、本当に勝てるぞ…!」
両まわしに手がかかり、後はどう寄りきるかという場面だが、後手は△62歩と徳俵で踏ん張る。
30秒の秒読みの中で、この土俵際の粘りは驚異的だ。苦しい局面でも決して諦めないメンタルに恐ろしさを感じた。
そして、何より、昨日観たオーラが衰えていない。
おかしい、倒れていてもおかしくないはずなのに…次第に焦りを感じたのは私の方だった。
扇子で顔を隠しながら、「落ち着け、落ち着け」と心の中で言い聞かせる。平常心だぞ、と。
だがそう言い聞かせている時点で、私の心は乱れていた。確かに急所にパンチが入っている。にも関わらず、決定打には至らない。
その心の隙をついて、ついに後手が猛追を開始する。

大山杯・アマ王将南東北予選⑤「軽快VS重厚」

私は角道を開けて、着手を待った。
後手は静かに△34歩。
3手目にして早くも決断を迫られる事になった。
昨日観た限りでは振り飛車党のようだが、もし▲26歩に対して居飛車でこられたらどうするか。
飛車先の歩を突けば相居飛車も覚悟するしかない。
もう後戻りはできないのだ。
それならば「あれ」でいくしかない。そう、ツノ銀雁木だ。少考して駒音高く▲26歩。
すると、すかさず△42飛車。とりあえず第一関門は突破したようだ。私はノータイムで▲66歩。
早い展開では、一瞬で敗勢になる恐れがある。
角道を止めて、スローテンポにして厚みを主張するのが私の作戦だ。
後手はノータイムの連続で一直線に穴熊を構築した。対照的に私は小刻みに時間を使いながら、慎重に慎重に駒組みを進めていく。そして迎えたのがこの局面。
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後手は左銀を保留したまま、角道を通して工夫全開の陣形だ。このまま、5筋を切られてはまずい。扇子を開いて長考に沈む。▲46銀と出たいが、守りが薄くなる上に決戦は避けようがなくなる。怖い、怖すぎる。だが、考えているうちに腹が据わった。力強く▲46銀。以下角頭を巡る攻防が続き、後手が△42飛車と捌きを狙ってきたのが図だ。
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△46飛車の捌きをどう防ぐか。
ここで直観が閃いた。これしかない。
▲57銀と力強く着手して離席。
この時点で30分の持ち時間は残り13分まで減っていた。
対して後手はここまでわずか5分の消費。
だが、不思議と焦りはなかった。
局面は互角かそれ以上だぞ、と自分に言い聞かせる。
トイレから戻ると、まだ局面に変化がなかった。
それだけ難所ということか。
1分、2分。どんどん時計の針が進んでいく。
10分を越える大長考の後に指されたのは
「△14歩」
深すぎて意味がよく分からない…
予定の▲37桂馬にノータイムで△22角。
なるほど、13に活用しようという構想だったようだ。
以下、右辺で大激戦に。今、後手が△33歩と飛車成りを受けた所だ。
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形勢はどうか。桂損だが、左美濃の堅陣はしっかりしている。駒の働きも悪くない。対して後手は穴熊は健在だが、△23の銀の働きが弱い。
僅かに有利と思っていた。
残り時間はもうほとんどない。間もなく一手30秒の秒読みが始まる。
扇子で風を顔にしきりに送りながら、全神経を盤上に注ぐ。
小さく息を吐いて、扇子を閉じたその時だった。
あ!…できた。
ここから13手後の局面が浮かんだというよりは、
「見えた」
私は心の中で、傑作、と呟いて歩をつまんだ。

大山杯・アマ王将南東北予選④

感想戦の前に、先に結果を事務局に報告。
師匠のH先生は、
「お~勝ったか!」と笑顔で言った後に、
「よほど明日運営がやりたくなかったと思われる」
とニヤリ。思わず苦笑い。
そこに県内屈指の強豪Y氏が現れ、結果を知って絶句。
少しだけ間があり、ボソッと一言、
「よほど運が良かったんだね」

手荒い祝福?を受けた後、感想戦が始まった。
ものすごく悔しいはずだが、N氏の態度は終始立派だった。「最後の△67角成では△22玉と迷ったんですが…」ずっと平静だったN氏が、初めて悔しそうな表情を見せた。自分も何度も逆転負けを喫しているので、その心情は痛い程分かる。
「そう指されていたらやはりこちらが負けてそうですね」私は静かに、小さく頷いた。
一礼をして感想戦が終了。
ちなみにN氏は、翌日の有段者の部で53人の猛者との勝負を勝ち抜き、見事に4位入賞を果たした。

私は他のブロックよりも一回対局数が少ないので、他の強豪の対局を観戦。
皆一様に迫力があり、独自の型を持っている。
対抗形も多く、特に中飛車の人気が高かった。
「あれは…」
一人の強豪に目がとまった。体からオーラが出ている。誰だろう…ん!?この名前は…
瞬時に記憶が甦った。急いでトーナメント表に駆け寄る。あ!声にならない声をなんとか飲み込む。
県内屈指の強豪Y氏に勝って、代表決定戦に臨んでいるではないか。
私は側に張り付いて、対局を観戦することにした。
局面は振り飛車から優勢に進めていたが、丁寧に時間を使っていた。迎えた終盤。
どうやって寄せの構図を描いているのだろうか?
一瞬の出来事だった。あっという間に相手玉に必至がかかった。これはあまりにも次元が違いすぎる。
だが、同時に明日、対局してみたい!!!
燃える感情がふつふつと湧いてきた。
興奮と衝撃と共に帰途についた。

「もう15年前か…」
就寝前。大会パンフレットの歴代優勝者を見ると、県勢の覇者は2003年のN氏まで遡ることになる。
その時のN氏の強さは今も語り草だ。
それにしたっていくらなんでも明日のこの面子は、と思う。超強豪ばかりだ。
県勢の勝ち残りは、山形のスーパーレジェンドS氏、山大のスーパーエースH氏、山形のスーパー中学生のM君、今は他県だが、スーパー安定感抜群のO氏。そして、私、スーパー…あれ?俺だけ何もスーパーがつかない笑
まあ、明日勝ってスーパーになりゃあいいだけだ。
ニヤリとした途端に眠気が襲ってきた。

翌朝。スーツに身を包み気合いを入れる。
上着を羽織ながら、スーツ着て勝った試しねーんだよなぁと苦笑い。
Perfumeの無限未来を聴きながら会場到着。
今日も選手と運営を兼務。会場準備をしながらも、作戦を考えていた。
いよいよ抽選。若い番号順なので、私からくじを引く。
直観で引いた番号は「1」
あ、これは1位になる、優勝の意味だなと本気で思い込む。
全員格上だが、とりあえず気持ちだけは負けないよう奮い立たせる。
抽選が終了、そして初戦の相手は…
なんと昨日対局を熱望したあの方だった。
「ありがてえ、そうだ!俺はスーパー持ってる男だ。俺には運の良さという武器がある。」
全てをプラスにとらえて着席。再度気合いを入れる。
対戦相手は元奨励会三段の方だ。
振ります、とはっきり私に告げ、振り駒。
ずいぶん長いこと振るんだなと思いつつ、じっと眺める私。
「と金が3枚です」
その言葉に緊張が走る。先手か…
本田先生の対局開始の合図と共に一礼。
全てを、全てを出しきる。そう固く心に誓い、ゆっくりと角道を開けた。

大山杯・アマ王将南東北予選③

あれ、確かこの方は…
抽選の結果、相手は岩手のN氏に決まった。
今年、秋田の大仙で行われた将棋大会の岩手代表だった選手だ。その時はブロックが別だった為、対戦はなかった。
さーて、戦法はどうすっかなぁ。
ぼんやりそんな事を考えていると、談笑中のあべしん君と今は他県で活躍中のO氏を発見。2人とも流石の連勝通過である。
「岩手のN氏とやったことある?」
いえ、と一拍おいてO氏が口を開いた。
「やったことはないんですけど、大学の東北大会で優勝してましたね」
なぬ!Σ( ̄□ ̄;)
うへー、聞くんじゃなかったぜ。そんなに強い人だったのか…
すると、あべしん君が
「まあ、でもここまで来たら誰と当たっても、ね。なんとかするしかないっす。」
O氏も横でしきりに頷いている。
うん、確かに。その通りだ。
全ては自力。そう自分に言い聞かせた。

定刻になり、席に座る。
振り駒の歩を取りながら、それにしてもでかい勝負だよなと思う。
①勝てばベスト16で翌日の決勝トーナメント進出。全国の強豪と再びあいまみえる権利獲得。
②宿泊補助費として一万円ゲッチュー。ブラックジャック大先生並に金にがめつい自覚があるので、なんとしてもほしい笑
③運営からの解放(*´∇`*)明日選手になれば、対局中のみは選手に専念できる。負けたら丸1日運営専念でござる。もしかしたらこれが1番でかい!?笑

そんな事を考えつつ、先手こいよ!!と念じながら
振り駒。先手を引く。ラッキー。
お願いします、と一礼しながら絶対勝つ!!と気合いを入れる。
今までは大一番では、必ずといっていいほど四間飛車穴熊を選んできたが回避。最近は完全にお蔵入りである。
というわけで、選んだのはノーマル三間飛車
これに全てを託した。
序盤。N氏の指し手が早いのなんの。しかも工夫全開の駒組である。対して私は慎重に小刻みに時間を使う。迎えたのがこの局面。
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ガーン、銀冠に組めない…
こっちはもうやる手がないのに、後手はやりたい手が山ほどある。思わず長考に沈む。
▲88飛車を考えたが、備えられて効果は薄そうだ。あーあ、こりゃあ作負け(作戦負け)確定だなぁ。諦めてぼんやり局面を眺めていたら、突然閃いた。これ、もしかして▲55歩突けるんじゃね?
丁寧に確認作業を繰り返す。やっぱりいけそうだ。
確信をもって力強く▲55歩。自然と駒音が高くなった。今までノータイムだったN氏の手がパッタリと止まった。手応え十分である。
以下、快調に進めて▲59飛車と引いたところ。
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角と銀が捌けた上に66の銀を宙ぶらりんにさせて、勝ったと思った。これはまじで勝てるぞ、と。
後手はここでうまい手の入れ方がない。黙っていると▲88角のレーザービームで試合終了である。
N氏は長考して△67歩。あれ、これには▲88角が成立するんじゃないの?
もう一度、よーく確認。
ここで失敗したら角を手放すだけに、代償がでかすぎる。自信を持って▲88角と着手。ノータイムで△68歩成。銀の処置どうすんだべ?と思いながら▲56飛車。手が交錯する勢いで△67と。
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あれσ( ̄∇ ̄;)?あれれσ( ̄∇ ̄;)?←本日2回目笑
ここにきてうっかり病が再発。顔面が紅潮した後に、一気に血の気が引いた。
俺の大山杯が終わった…あまりにも痛すぎる、痛恨すぎる見落とし。飛車と角が両方取られてしまいそうである。あんなに確認したのに、なぜか△67とがエアポケットに入っていた。
苦しい長考に沈む。
「そこは考える場面ちゃいまっせ!!」
魚鱗さんの叱責が聞こえてきそうだ。
悪くなってからは最善手は存在しない。さて、どうしたものか…
苦慮の末に▲54歩を選択したが、これが形勢をさらに悪化させた。そこから数手進んでいよいよ苦境に立たされたのがこの局面。
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飛車に続いて、角ともお別れの時がきたようだ。
左右の大砲を失って、攻めが切れる恐れが濃厚になってきた。▲33角成△同玉に▲45桂馬打。
本当は▲45桂馬と跳ねたいのだが、△同金~△55角で勝てないと判断。温存しておきたい桂馬を使わざるを得ない事情があった。
残りは銀2枚。
「やべー、まじでやばすぎる。攻めが切れる」
内心はびくびくしていたが、雰囲気だけは自信ありげなふりをする。
さて、この王手に対してどこに逃げるのが正着か。
N氏が長考に沈んだ。序盤からずっと早指しだったのでまだ時間に余裕がある。
だが、なかなか指さない。それどころか、いやあと小声で呟き呻き始めた。実はまだ難解なのか?
△44玉とは上がりづらいと思った。なんとなく△22玉の予感。これには▲33銀と決めて狭い方に追ってどうか。まだ完全に負けとは言えなさそうだ。
ドキドキしながら待っていると、スッと△42玉。
え!?これならいける!!以下、必死に食らいついたが…
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一歩がない!!!!!!!!!!!!
ここで歩が1枚あれば▲55歩で竜を取ることができるのに…俺に歩をくれ!!!!!!今なら1枚10000円でも買うぞ!!!!!!←宿泊補助費全額笑
喉から手が出るほど、地団駄を踏むなどの格言が頭をかすめてゆく。どこかに、どこかに歩は落ちてないのか!!!!…全身全霊をかけて、全てを尽くしたが手段は見つからなかった。29秒のブザー音と同時に▲33桂馬成。ふにゃっとした諦めの手つきだった。負けだ。もうどうにもならない。今度こそ負けになった。だが、ここで勝負は終わらなかった。あれ…?また難しくなってる…
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甦る可能性がある。秒読みに追われながら不思議な感覚に包まれていた。この将棋…
すると、隣で練習将棋を指していた中学生達の1人がこう言った。
「この将棋、負ける気がしないんだよね」
それだ!!もちろん自分の将棋に対してだろう。
だが、俺も負ける気がしないんだよね、なぜか。
そう感じると一気に気迫がみなぎってきた。
絶対になんとかする!
そして奇跡は起きた。
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ここから、△57角成が敗着。
なんと後手玉に詰みが生じていた。▲41飛車成△22玉。ここで最初は▲47金しか見えず、負けを覚悟した矢先に突然▲33金が閃いた。
この時の驚きと興奮は筆舌に尽くしがたい。
最後の最後に勝ちが転がり込んできて終局。
お互い呆然。端から見たら、どちらが勝者か分からないような雰囲気だった。
とりあえず全力は出しきったぞ…
朦朧としながら安堵の気持ちがゆっくりと込み上げてきた。

大山杯・アマ王将南東北予選②

いよいよ対局開始。
初手を指すまでの心地よい緊張感。大会参加の醍醐味だ。
今はネットで世界各国の人といつでもどこでも対局できるが、やはり他県の強豪と直接盤を挟める喜びは格別なものがある。
「後は対局に集中してもらって大丈夫ですから」
大山杯の運営担当のT君のお父さんが、笑顔で送り出してくれた。有難い。これで心置きなく戦闘モードになれる。

戦型は私の銀冠穴熊VSノーマル三間飛車
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図の局面で熟考して▲66歩。以下△同歩▲同角でポイントを稼ぐことに成功。84の歩取りと24歩~22歩の両狙いが生じている。さらに6筋の歩が切れて歩を手持ちにする事は見た目以上に大きい。
以下、端から逆襲して優勢へ。しかし、粘り強い対応に手を焼き、迎えたのがこの局面。
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△62金引きと守られて、ここでどうするか。
最後の長考に入る。
直観は、▲72成香と銀を取る手だが味消しと判断。▲74歩も急所から外れている気がする…
優勢だが決め手が見えず焦りを感じていたところに、▲63歩が閃いた。これだ!!
再度読んでから着手。が、これがとんでもない大悪手で優勢がふいに。ノータイムで△同銀と取られて金銀の強力なバリケードができてしまった。
あれσ( ̄∇ ̄;)?あれれσ( ̄∇ ̄;)?
ここで持ち時間を使いきり秒読みへ。
一転大ピンチに。残り1秒まで考えて▲23歩と逆サイドにあやを求める。
△31角と辛抱されたら大変だったが、△28飛車だったので、▲39馬~▲17馬の筋で再逆転に成功。
最後も僅かに残していたようで、ツキがあった。
対局後に話を伺うと、富山県から5時間!かけて、仲間の方と来られたらしい。
「いい大会と聞いて、1度ぜひ来てみたくて…」
と、嬉しそうに話す姿を見て、私もなんだか嬉しくなった。ぜひまたいらしてください。

予選2局目はK君と。隣で気迫溢れる指し回しで遠征組の強豪を撃破。厳しい勝負になることを覚悟した。
私のノーマル四間にK君が工夫の仕掛けを見せて、迎えたのがこの局面。今、▲77同桂馬と角を取り返した局面だ。
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まあ、良くもなく悪くもなく。なんとかなるっしょ、たぶん。あきれるほど緩ーい形勢判断である笑
そんな私を尻目にK君は大長考。
いい時間の使い方だなと思った。
待つこと約10分。駒音高く△64角。
これは…!容易ならざる局面に思わず身を乗りだす。
扇子をゆっくり開閉しながら読みふける。今度はこっちが長考する番か…。
直観は▲46角の合わせで角を消したいのだが、46同銀と取り返した形が陣形が弱体化する上に、飛車のひもが外れるのが不満である。何より46の地点には銀ではなく、角を設置したいのだ。
次に考えたのが▲48銀。側面を堅めながら、46の空間を残しつつ戦おうという手だ。あくまでも46には角を打ちたい。それがこちらの大主張である。
が、これも見送った。△64角があまりに不気味に感じたからだ。これでまた読みの振り出しに戻った。考慮時間が10分を越えていよいよ決断を迫られた。私の答えは▲85桂馬。第3の手を選択。桂馬を交換して手を渡す狙いである。
以下、△同桂馬▲同歩△同飛車▲86歩△同角▲88飛車△84歩▲46角
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▲86歩~▲88飛車が軽い捌き。
そして待望の▲46角が実現。この角を打ちたいがための苦労が全て報われた。
これにて優勢を確信。以下は▲25歩からの玉頭攻めで、なんとか逃げきる事ができた。

2連勝で予選通過。そして抽選の結果は2日目進出、即ちベスト16入りをかけた大一番となった。
果たしてその相手とは…