加藤一二三先生(ひふみん)講演会当日①「天才の感性」

※主催のNHK文化センター仙台教室様より、公開の許可を頂きました。本当にありがとうございます。

私のメモより、加藤一二三先生の力強いメッセージを抜粋してお届けします。

 

時刻は定刻の13時。

ついにこの時がやってきた。

入り口に加藤一二三先生が登場。

会場は万雷の拍手に包まれた。ゆっくりと一歩ずつ進む加藤先生。私には優しく、あたたかいものが加藤先生を包んでいるように思えた。

その時だった。急に涙腺が緩み、危うく涙がこぼれそうになるのを寸での所でこらえた。自分自身、全く予期せぬ事に驚きを隠せない。

「19年前の事がよぎったとでもいうのか・・・?」

そんな事を考えているうちに、加藤先生が舞台に登壇。

主催のNHK様が加藤先生の体調を考慮されて椅子を準備されたようだ。ゆっくり椅子に座る加藤先生。

最前列でさらに身を乗り出す人、感極まって加藤先生に釘付けの人、本当に嬉しそうな表情の人。そして、ペンをギュッと強く握り締める人。各人が様々な想いで、加藤先生を見つめている。

「えー、あー、はい」

ついに始まるんだ。どうやら胸の高鳴りを抑えきれそうにない。なんて幸せな時間なんだろう。自然と頬が緩むのを感じながら次の言葉を待った。

「今日はNHK様の講演という事で喜んでやってきました」

それに続いて、NHK様には長年に渡り棋戦を主催して頂き感謝している言葉が述べられた。

この時、主催者の方の嬉しそうな表情といったら。

段取り等の苦労がいっぺんに吹き飛んだかのような優しい眼差しだった。

その後、加藤先生が小学一年生の時の事。

花に感動し、「この世の中は素朴で美しくできている」

そう感じたと聞いて、私は驚嘆して深い感動を覚えた。これが天才の感受性なのか!自分が小学一年生の時と言えば、おたふく風邪で入学式をいきなり欠席したり、給食のいかぽっぽ焼きが食べれなくて号泣した記憶しかない・・・笑

 

さらに小学二年生の時にはグラジオラスを見て、

「物事は深く考えるようにできている」と感じたそうだ。

グラジオラスには、花言葉として剣や戦いの準備というものがあるそうで、それを感じとったのかもしれないとの事だった。

さらに地方に生まれて「いい所に生まれた」と感じたそうである。

将棋界の後輩棋士にどんな花が好きかと聞くと、だいたいが「ノーコメント」

そういうのに感動するのは小学生の加藤先生が只者じゃないからです、と言われるんですと満面の笑みの加藤先生。

つられて笑う会場の面々。徐々にエンジンがかかってきた加藤先生。私はペンを走らせながら、心があたたまるのを感じた。 続く