歩っかる将棋ブログ

2024年から山形県天童市を中心に将棋の活動を再開しました。将棋大会の様子や自分の実戦を紹介しています。

トランヴェール4月号

JR東日本が発行している雑誌「トランヴェール」の4月号が発行されました。新幹線の座席の網の部分に入っている雑誌と言えば、多くの方が思い出すことでしょう。

毎月、特集ページが設けられており、今回は「山形の将棋とお菓子」がテーマとなっています。特集ページはインターネット環境があれば読むことができます。

また、雑誌全編を読みたい場合は単品で購読することも可能です。

私は将棋交流室での取材現場にいましたが、熱心な取材と撮影が行われていました。

ぜひ、ご一読ください。

 

 

レーティング選手権西東北大会

今回はレーティング選手権西東北大会の記事です。

朝起きてコーヒーを飲みながら、水曜日のカンパネラのエジソンを聴いてテンションアップ。

数年ぶりに水曜日のカンパネラの桃太郎も聴いたのですが、歌詞の解読には至りませんでした。

いつものように、カロリーメイト、ハイカカオチョコレート、ナッツ、ルイボスティーを購入して大会会場の天童市民プラザに向かいました。

1回戦 対H氏

優勝候補のH氏との対局です。先手番で居飛車穴熊を目指しましたが、早い段階でけん制されたのでエルモ急戦から更に変化して玉頭位取りを選びました。

ここからの後手の手順が好着想だった。

今、先手が▲88玉と寄ったところです。

▲88玉以下は、△74歩▲同歩△75歩▲同銀△74銀▲同銀△同金

先手が手数をかけて構築した位が消滅。先手の角頭が薄い。

後手の△75歩が手筋で、一歩を使って位の奪還に成功しました。

△74金以下は、▲67金右△75歩▲87銀△73桂▲66歩△85歩

先手の主張が消えた。

7筋の力関係が逆転し、後手の厚みが大きくなりました。先手の27の飛車の働きも弱く勝ちにくい展開です。この後は44の銀を活用されてじっくりリードを広げられました。

チャンスが1度も来ないまま敗戦となりました。

昼食

2回戦を終えて昼食です。

  • 牛丼弁当
  • カレー弁当
  • 唐揚げ弁当

先週行われた支部名人戦・対抗戦と同じメニューで、上記の3種類から選択+お茶でした。

今回は牛丼をいただきました。

3回戦 対N君

2回戦でM君のエルモ急戦を三間穴熊で破っての3回戦です。N君とは初手合いです。先手で四間飛車穴熊を選び、飛車を切って一気に攻め込みました。

勝負所。何か良さそうな組み立てがありそうだが……

今、先手が▲34歩と叩いて△同銀と応じた局面です。角筋が通るので何かありそうかと思ったのですが、長考しても何も見つかりませんでした。

長考して局面を動かしにいったが悪手だった。

考えた末に後の67に角を打つ筋に期待して▲85歩を選択したのですが、形勢を悪化させました。大局観が悪かったようです。

▲85歩以下は、△38歩▲同金△85桂▲同銀△同飛▲67角△76銀

強手。読み負け。最後の長考に入ったが、先手がよくならなかった。

△38歩を利かして金が浮いたことで、34の銀を取ることができません。直後に35飛車の角金の両取りがあるためです。読み負けで先手が不利になりました。

△76銀以下は、▲同角△89飛成▲39歩△37歩▲同金寄△45桂

厳しい追及。先手は2枚角の働きが弱い。

先手は2枚角の働きが弱く、この後も粘りましたが投了に追い込まれました。

今大会は1勝2敗でした。

なお、詳細は日本将棋連盟山形県支部連合会の大会結果をご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

第53回支部対抗戦・名人戦山形県大会

今年から大会規定が変わったのを機に支部名人戦にエントリーしました。

いつものように、カロリーメイト、ハイカカオチョコレート、ナッツ、ルイボスティーを購入して大会会場の天童市民プラザに向かいました。

大会ルール

  • 持ち時間は東日本大会と同じ20分切れたら1手30秒の秒読み
  • スイス式リーグ
  • 入賞は6位まで

ここからは対局を振り返ります。

1回戦 対M氏

M氏の十八番先手三間飛車に対して、居飛車穴熊で対抗しました。94歩を省略して14歩を突いた形を選んだのがささやかな工夫です。

しかし、少しずつ手が遅れている感覚があり、欲張りすぎたかもしれません。松尾流穴熊を放棄せざるを得ない展開になり、自信がない展開でした。

先手の▲48角に対して持ち時間を全てつぎ込んで決戦に踏み切りました。

中盤の難所。

▲48角以下は、△65歩▲同銀△64銀▲74歩△65銀▲同桂△74飛▲同飛△同歩▲62飛

好手。後手の32金をにらみつつ、64角をケア。

決戦を選択したものの▲62飛と打たれて少し後手が悪そうです。ここで△31銀と松尾流穴熊を構築。長期戦に持ち込んでチャンスを待つことにしたのですが……

32の金が浮いているので修復作業。徹底抗戦。

△31銀以下は、▲41銀△69飛▲37角△55歩▲同角△64歩??▲32銀不成△同銀

次の1手をうっかり。

先手の▲41銀に対しては32の金をケアする必要があったようです。ここで▲53桂成の軽手をうっかりしました。居飛車は粘る順がありません。以下も手堅くまとめられて押し切られました。

89にいた桂馬が大躍進。俗に言う「天使の跳躍」

2回戦 対I氏

1回戦に続き後手番です。序盤に微妙な駆け引きがいくつかあり、I氏の玉頭位取りを見てから角交換型四間飛車穴熊に変化しました。今、△72金寄とさらに補強したところです。先手はここで積極的に動いてきました。

堅さVSバランス。後手は33の銀をどう使うか。

△72金寄以下は、▲74歩△同歩▲同銀

この局面で大長考。後手に先手の銀を捕獲する手段はあるのだろうか?

銀が単騎で突入してきたのでなんとかとがめる手段はないかと大長考に沈みました。

読み筋は、△84歩▲51角△73歩▲同銀成△同桂▲42角成△同銀▲41飛

変化図。この飛車打ちが厳しいと判断して読み筋を打ち切ってしまった。

42の銀取りが受けにくいのでここで読みを打ち切ってしまったのですが、ここで△39角と反撃すれば後手が指せていたようです。

変化図その2。後手期待の反撃。先手は飛車が狭い。後手良し。

本譜に戻ります。

再掲。図は▲74同銀まで

持ち時間の大半をつぎ込んで悩んだ末に△61金!を選択しました。△61金以下は、▲85銀△71金寄▲76銀と進行。なんとか均衡を保つことに成功したようです。

苦労の末に互角を維持。

▲76銀以下は、△14歩▲55歩△44銀▲24歩△55銀▲23歩成△27歩

歩っ軽。後手期待のカウンター。先手は58の金が浮いているのが痛い。

今までの苦労が報われた気持ちになり、ここで歩っと気持ちがゆるみました。しかし、実際は思ったよりも難解だったようです。

△27歩以下は、▲同飛△49角▲28飛△58角成▲同飛△46歩▲同歩△同銀▲68銀

玉の脇を引き締めながら飛車筋が通った。後手は46の銀が重い形。

後手が好調に攻めているようですが、最後の▲68銀が味の良い引き締めでここでは形勢が互角に戻っています。

▲68銀以下は、△35銀▲48歩と進んで先手が持ちこたえる形になりました。

35の銀の働きが弱い。ここからの後手の構想がまずかった。

▲48歩以下は、△43飛?▲32角△46飛▲21角成△75歩??▲同銀△76歩▲85桂△26飛▲59飛

ぴったりの飛車引き。後手は攻めが細く歩切れも痛い。先手良し。

△75歩と上から攻めた構想が疑問で、47に打つ歩が無くなってしまいました。

最後の飛車引きがぴったりで先手が優勢です。この後は66に角を据えられて手厚く指されて負けになりました。

昼食

  • 牛丼弁当
  • カレー弁当
  • 唐揚げ弁当

上記の3種類から選択+お茶でした。

昼食後の3回戦はM氏に先手中飛車穴熊対銀冠の戦型で勝ち、1勝2敗で今大会は終了です。なお、結果は日本将棋連盟山形県支部連合会の結果のページをご参照ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

天童支部タイトル戦➁

前回の天童支部タイトル戦①の続きです。

5回戦 対O氏

4回戦はE君の右四間飛車+エルモ囲いをノーマル四間飛車で受け止めて勝ち、最終戦を迎えました。O氏は学生大会や一般大会でも活躍されている強豪です。

O氏が勝てば全勝で挑戦確定、私が勝てば4勝1敗で複数名が並ぶ状況でした。

25の歩をどう守るかが焦点。

先手O氏の向かい飛車穴熊に厚み重視で銀冠を選択。今、先手が▲36金と進出して25の歩を狙ってきたところです。対して後手は△24角と上がって▲25金をけん制します。

次に△33桂と跳ねれば万全の構えだが……

ところが、先手は構わず▲25金と進出。46の歩が浮くので出にくいと思っていたのですが、大丈夫との判断でしょう。お互いの主張がぶつかります。先手が▲25金と強気にきた以上、こちらも引くわけにはいきません。一気に決戦です。

棋は対話。後手の△24角に悪手の烙印を押しにきた。

▲25金以下は、△46角▲47歩△28角成▲同金△33桂▲26金△35銀

駒損だが、厚みで対抗。先手玉も薄い。

角と金の交換で少し悪そうですが、先手玉も薄く2筋に後手の歩が使える形なので先手も神経を使う展開です。

先手の77角と66銀が重いので、まだまだ難しくチャンスはある展開と思っていました。△35銀以下は、▲68角△86歩▲同歩△26銀▲同歩△22玉▲27銀

鍛えの入った一着。先手陣が引き締まった。

先手は▲27銀で陣形を補強しながら2筋を補強します。ここが本局の勝負所で腰を落として考えましたが、大局観を誤まりました。▲27銀以下は、△65歩▲57銀△66歩▲同銀△62飛

疑問の組み立て。後手は飛車を切れない。

後手の△66歩から△62飛車が疑問の構想でした。△66歩に変えて△58金くらいでもたれておけば難しかったようです。△62飛に対して▲15歩と突かれて事の重大さに気づきました。角を重ねるラインが受かりません。

鋭い着眼点。斜めのラインが受けにくい。

▲15歩以下は、△同歩▲12歩△同香▲13歩△同香▲46角

後手しびれ。駒損が広がる展開に。

かなり形勢を悲観しており、ここでは諦めていました。しかし、O氏はまだまだ難しいと思っていたようです。実際、ここが最後の勝負所でした。▲46角以下は、△35歩?▲91角成△34金▲39香

下段の香に力あり。先手陣の嫌味を解消する絶品の香車。後手は勝てない。

▲39香の利きが素晴らしく流れが一気に先手に傾きました。以下はO氏の的確な攻めに土俵を割りました。少し戻って検討してみます。

再掲。図は▲46角まで。ここは後手に勝負する順があった。

▲46角と打った手に対し、△35金で難しいと思っていましたと感想戦で言われ愕然。全然見えていませんでした。検討してみると確かに難しいのです。

諦めが敗因。まだ後手にもチャンスはあった。

△35金以下は、▲91角成△25歩と指せば先手の穴熊の1、2筋に手がついていて大変でした。こちらはもう少し粘り強く指す必要があったことと、「諦め」が早かったのがまずかったです。

先手も神経を使う展開に。難解。

終結果は3勝2敗でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

天童支部タイトル戦①

天童支部で毎月第3日曜日に開催されているタイトル戦に参加してきました。

タイトル戦の概要は下記の通りです。

  • 12時30分対局開始
  • スイス式5回戦→優勝者がタイトル保持者へ挑戦
  • 持ち時間は15分切れたら1手30秒
  • タイトル獲得者、並びに1位~3位まで賞品、参加賞あり

大会を振り返ります。

3回戦 対M君

1回戦はT君の四間飛車穴熊に玉頭位取りで勝ち、2回戦はM君のエルモ急戦に三間飛車穴熊で対抗して勝ってからの3回戦です。

M君とは先日の第26回北部将棋大会以来の対局です。今回は先手番だったので先手中飛車を採用しました。

先手中飛車穴熊対2枚銀。分厚い壁を突破できるか。

後手の△73桂を見てさっそく動きます。△73桂以下は、▲75歩△84飛▲95角△94飛▲96歩

端角をからめながら攻勢。しかし善悪は微妙。

後手は自然に対応しています。▲96歩以下は、△75歩▲54歩△同歩▲同飛△62金

ここで大長考。金銀の壁を突破したいが……

何かありそうかと思って大長考しましたが、後手陣に隙はありませんでした。▲74歩や▲44飛なども成果が見込めず断念。△62金以下は、▲28銀△55歩と進みました。

飛車が助からない。先手正念場。

ここで再度長考して時間を使いきりました。ただ、この進行は先手としては予想できた手順なので時間の使い方としてはよくありません。明らかな変調です。結局ギリギリまで考えて▲39金と自陣に手を入れました。

後手はやや怪訝そうな手でゆっくり銀を持って△45銀。△53金で飛車を取りに来る手しか見えておらず、悲しいうっかりの発動です……

飛車が助からない。先手は無理でも攻めるしかなくなった。

富士山盛りサーモン軍艦「うっかりに気づいたときは、時すでにお寿司」私「……」

ただ、秒読みが始まっているので嘆いている暇はありません。△45銀以下は、▲64飛△同飛▲84銀△52金寄▲75銀引

角で桂を取る構想。互角に戻った。

73に銀を使うのではなく75に引いて使うと角が軽い形です。少し先手が持ち直しました。▲75銀引以下は、△94飛▲73角成△56歩▲74歩

今度は先手が飛車を捕獲する形に。先手に流れが傾いた。

▲74歩で後手の飛車が狭くなり流れが先手に来ています。対局中も手応えを感じました。▲74歩以下は、△57歩成▲95歩△88飛▲57銀△89飛成▲58金△99角成▲94歩

飛車が取りきったが、後手もその間に桂香を補充。激戦。

飛車を取れたのも大きいのですが、後手はその間に壁角を捌きながら桂香を持ち駒に蓄えて2筋からの猛攻を狙っています。▲94歩以下は、△35桂▲48銀△24香▲66歩

馬筋を止めて▲55馬を狙いにしたが……

次の▲55馬に期待しましたが、後手の2筋からの攻めが予想を上回る厳しさでした。

▲66歩以下は、△27桂不成▲同銀△同香成▲59歩△57歩▲同金△78竜

歩の手筋と竜の活用を駆使して先手陣を攻略。△48竜と△75竜の狙いが受けにくい。

一瞬で局面が悪くなったことに驚き、秒読みで修正ができませんでした。△78竜に対して▲58飛車と合わせたのが悪手で△75竜と銀を補充して後手が手厚い形です。

五段目の竜が手厚い。先手の▲55馬を消しているのも大きい。

△75竜以下は、▲28歩△18成香▲同玉△14歩!

端玉には端歩の格言通りの一着。先手敗勢。

ノータイムの△14歩で先手は困っています。金銀3枚が守りに機能していません。この後も粘りましたが敗れました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

第26回北部将棋大会③

第26回北部将棋大会➁の続きです。

 

中盤~終盤戦

再掲。先手の対応は?

今、後手が△28歩と打ったところです。ここから先手は驚きの辛抱で対応してきました。

△28歩以下は、▲86桂△85銀▲78金寄!△29歩成▲32竜△52銀▲77桂

先手切り札発動。

先手の▲78金寄が驚愕の一手でした。先手は桂を取らせる代償に、後手の飛車を封じることに全てをかけてきました。

後手は自然に対応しています。▲77桂は先手にとっての切り札ですが、本来は守りの桂です。この桂を跳ねざるをえないところに先手の苦悩が表れています。

▲77桂以下は、△86銀▲同歩△46角▲47歩△79角成▲同金△19と

ついに均衡が崩れた。後手優勢。

先手は守りの金をはがされたことと、87の地点に空間ができたのが痛く陣形が一気に弱体化しました。駒の損得も角と金、桂、香の交換になっているのに加え、先手は歩切れも痛いです。

野球で言えば、6回裏まで0対0だったのが、7回表に一気に後手が3点先制した感じです。ただ、勝つまではまだまだ大変と思いながら指していました。

△19とに対して先手は64に香車を打たれる筋を避けながら▲55角と出てきました。

玉の斜めをにらんで不気味な角。後手にプレッシャーをかけて楽にさせない。

先手は次に▲82角成から攻め込んでくる順を狙っているので、慎重な対応が必要です。しかし、残り時間が少なく考えている時間がありません。

後手が活用したい駒は43の飛車です。そこで閃いたのが△64歩です。飛車を横に転回する筋を含みにしつつ、なおかつ6筋の歩を切って、垂れ歩の攻めも視野に入れました。

残念ながらエラー。後手のリードが一気になくなった。

ただ、この構想が良くなかったことが徐々に浮き彫りになっていきます。

△64歩以下は、▲同角△72金打▲46角

金を手放したことで攻め駒が心細い形に。後手変調。

玉はさらに堅くなりましたが、さすがに過剰防衛でした。金を手放したことで攻撃力が激減し、局面が複雑になっています。

先手の角のラインが通ったままなのも後手としては気になるところです。

▲46角以下は、△45歩▲55角△46歩▲11角成

残り時間切迫、ここからの構想が勝敗を分けた。

差がだいぶ詰まったものの、まだ後手がリードしています。ここでは最初の直感通りに△41飛車と馬に当てながら引くのが良かったです。

先手の狙いの▲44香車も同時にかわしているので、難解ながらもリードを保てていたでしょう。

平凡手。これならわずかな優勢を維持できていた。

本譜は▲11角成以下、△47歩成▲44香△66歩??▲43香成

今までの苦労が水の泡に…後手、痛恨のうっかり。

本譜は先手に香車を打たせて、馬筋が止まった瞬間に△66歩からのと金攻めで攻め切ろうという構想でした。

しかし、シンプルに▲43香成で飛車を取られてみると、馬筋が復活し、さらに66の歩と52の銀が取られそうになっています。

これで完全にこちらのリードはなくなり、流れも逆転ムードです。

▲43香成以下は、△同銀▲同竜△52と▲47竜△57香▲66馬△46歩▲38竜

大駒4枚が先手の手中に。後手は小駒のみで攻めが細い。切れ模様。

この後も小駒で迫りましたが、先手の応手は正確でした。先手の穴熊玉は最後まで、深く、遠かったです。残り9秒まで粘りましたが、投了となりました。

後手優勢を確立させる手段

検討したところ、後手がはっきりよくなる局面があったので最後に追記します。

再掲。図は▲55角まで

先手が▲55角と出たところです。後手が優勢を確立する手は2つあります。

①▲55角に対してはN君推奨の△64香が攻防兼備の1着でした。

強力なバリケード。玉の斜めを守りながら67の地点もにらんでいる。

➁同じような意味で▲55角に対しては64桂も有力です。こちらは強豪のH氏推奨の手です。

桂打ちも有力。どちらを選ぶにしろ、後手が有望な局面だった。

香、または桂を打つことで後手玉がさらに鉄板になるので勝ちやすい展開でした。

終結

4勝1敗で複数人が並びましたが、大会規定により準優勝でした。

終結果は日本将棋連盟山形県支部連合会をご参照ください。

大会賞品

賞状と箱に入った小物をいただきました。

箱を開けてみると……きれいなコップが入っていました。春が一足先に訪れたような爽やかなデザインですね。

爽やかコップ「歩っかるに【人生の春】は来るのかしら(・・?」私「大会の指し手よりはるかに厳しくて草」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

第26回北部将棋大会➁

第26回北部将棋大会の続きの記事です。

 

3回戦 対M君

優勝候補のM君は初戦で強豪のI氏、2回戦で元県名人のK氏を破って連勝スタートです。

M君の先手で初手▲26歩から対局が始まりました。

序盤戦~駒組から仕掛けまで~

作戦の岐路。

角道を開けたままにして駒組を進めているのが後手の工夫です。先手の形をギリギリまで見てから、角交換型にするか、通常の角道を止めるノーマル型にするか考えていました。

5筋を突いて銀を57に上がってきたので、方針を決定しました。

▲57銀以下は、△88角成▲同玉△33銀▲98香△92香

角交換型の相穴熊へ。お互い神経を使う展開に。

後手は一度33に角を上がっているので、自分から角を交換するのは手損になります。

ただ、先手陣は5筋を突いているので角の打ち込みの傷があります。

手損と角の打ち込みの傷を天秤にかけて指せると判断し、角交換型の相穴熊を選びました。

△92香以下はお互い自陣の整備です。金銀を寄せながら間合いを計ります。

しばらく進み、今後手が△62に金を寄せてさらに固めたところです。

がっぷり四つ。角の打ち込みに気をつけながら駒を配置する。

ここで先手は駒音高く▲46銀!と上がってきました。

積極的な構想。

後手から角の打ち込みがありそうな形ですが、大丈夫なのでしょうか。

△39角から考えてみたのですが、読んでみると自信がないことに気づきました。

仮に△39角と打つと以下、▲38飛△84角成▲35歩と進みます。

後手は馬を作ったが、馬の働きが悪い。先手ペース。

馬を作る構想が悪かったので、また振り出しに戻って読み直しです。ここで差がついてしまうと逆転は難しくなるため、思わず長考となりました。

長考の末、▲46銀に対して△22飛と2筋に備える手を選択。そこでノータイムで▲66角と打たれてまた手が止まりました。

攻防兼備の角打ち。39の地点をケアしながら、後手の飛車の動きもけん制している。

この角打ちによって後手陣にさらに圧力がかかっています。先手にとって懸念だった39の地点角打ちの傷も解消されました。

▲66角に対しては、長考の末、△44銀と対抗。以下、▲68金寄△74歩とお互い自陣に手を入れます。ここからは、いよいよ中盤戦です。

後手も先手の飛車を角でけん制するための準備。お互いに駒組が飽和点。決戦間近。

中盤戦~難解な攻防~

△74歩と突いた手を見て、先手はついに仕掛けてきました。

再掲。図は△74歩まで

△74歩以下、▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲35銀

本格的な戦いへ。後手はここで反撃。

66角のラインを活かして先手は攻め込んできましたが、△73角で飛車を攻めながらカウンターを狙います。

事前に突いた△74歩を活かして応戦。

△73角以下は、▲46歩△32飛▲44銀△同歩▲37歩

駒の損得はなし、玉の堅さ、駒の働きもほぼ同じ。後手の選択肢は?

お互い銀を手持ちにして局面が一段落です。対局中は互角と感じていました。

私はここで軽く△34飛車と浮きました。

フッ軽。読みというよりは感覚の1手。

この軽い飛車浮きによって、24の歩と44の歩を同時にケアしています。43に銀を打たれる傷がありますが、打たせても指せるとの判断です。

「飛車の形が軽いですが、それでも銀を打ってきますか?」と先手に問いかけています。「棋は対話」ですね。

私が時計を押したと同時に先手は駒音高く▲43銀を決行。本局一番の高い駒音でした。駒音や指先にこもった雰囲気からも自信がうかがえます。

後手の△34飛を全力で咎めにきた。お互いの主張が激しくぶつかりあう。

▲43銀以下は、△33飛▲24飛△43飛▲21飛成

お互いに主張がある局面。後手は次の手に期待した。

先手の主張は2つです。

  • 銀と桂の駒損だが、敵陣深くに竜を作った
  • 後手の飛車の働きが悪い

一方、後手には3つの主張があると思っていました。

  • 銀と桂の交換でやや駒得
  • 持ち歩が1枚先手よりも多い
  • 先手陣の29桂と19香の働きが弱い

以上のようなことを考えながら、▲21飛成に対して△28歩と揺さぶりました。

歩っ軽。歩で軽く先手陣を揺さぶる。

ここまで快調に飛ばしてきたM君の指し手が止まりました。しばらく指しそうな気配がありません。

先手の主張は「竜が敵陣の急所に利いている」ことなので、竜で取りにくい意味があります。

△28歩は最善か分かりませんでしたが、相手の心理面に訴えかける狙いもありました。待つこと数分、先手は驚きの鬼辛抱を選択します。

 

次回に続きます