回り道~3度の飯より将棋が好き♪~

将棋のエッセイや戦術、私の日常について綴っています。

藤井聡太七段の快挙

2013年将棋世界3月号、214ページ。

図面を前に思わずため息が出た。

「9歳でこれは……信じられない」

先月の広瀬新竜王の就位式で、堂々と挨拶をしていた藤井先生の姿が目に浮かんだ。

 

朝日杯将棋オープン戦決勝。藤井七段が渡辺棋王に勝ち見事に連覇達成。

準決勝、決勝共に相居飛車の激戦で圧巻の内容だった。

月曜日、職場にて将棋を知らない先輩が

「藤井七段はたいしたもんだねぇ。これって他の事に例えるとどれくらいすごい事なの?」

咄嗟に浮かんだ答えが、

羽生結弦選手のオリンピック連覇に匹敵するんじゃないかと、個人的には思っているんですが」

自分の中では内容や勝利した相手棋士も含めてそれくらいのインパクトがあった。

先輩は、

「そんなに!?」

と大きく目を見開き、またしても

「まだ若いのにたいしたもんだねぇ」とうなずきながら唸った。

藤井七段の更なる活躍と成長が本当に楽しみだ。

 

昨年発売された「藤井聡太全局集」は楽しみながら何度も盤に並べて鑑賞している。

村山七段の解説があるのも有難い。

これからも大事に大事に読んで、勉強していきたいと思う。

冒頭の場面は、本棚を整理している時にページをめくったら偶然見つけた。

藤井先生が9歳の時に作った詰将棋。7手詰めで非常に爽快な手順。2012年詰将棋サロンの谷川賞を受賞し、谷川先生が「切れ味があり、9歳とは思えない作品」(2013年将棋世界3月号214ページより引用)とコメントを寄せている。最後の7手目が限定打というのもすごい。

 

年間最高勝率の記録更新に向けて、今後も厳しい対局が続く。

将棋を知らない先輩に今度はどう説明しようか。年度末まで密かな楽しみは続きそうだ。

 

 

 

 

深夜の咆哮

画面から目が離せないまま、一体どれ程の時間が過ぎたのだろうか?

和服姿の菅井七段は咆哮をあげ、盤に覆い被さる。永瀬七段は盤を睨みながら食べる。さらに食べる。この将棋は負けの局面だが、第3局は負けないぞという違う形での咆哮に私は感じた。

 

仕事が終わってから、ふと気づいた。

不覚にも「永瀬流負けない将棋」の書籍を持っていない事に。手元にあるのは2冊目の全戦型対応版のみだ。

あるといいのだが、と祈るような気持ちで書店に入る。

本棚に目をやると、ひっそりと、上の棚の端に一冊だけ残っていた。まるで私に買われるのをじっと待っていたかのように。

 

家路を急ぎ、ニコニコ生放送をさっそく視聴。

手元には永瀬本が2冊。

局面は、中盤の最難所で永瀬七段が全神経を振り絞っている所だった。

しかし抜け出したのは菅井七段。巧みな捌きでリードを奪い、終局近と思われた矢先。

そこからが永瀬将棋の真骨頂だった。

決め手を与えずに局面は混沌。一時は逆転かと私は思ったが、菅井七段は玉の早逃げでこらえる。評価値も開き、今度こそ終局かと思われたが永瀬七段に諦めた気配は全くない。

「理屈を超越している……」

そして場面は冒頭に戻る。

総手数188手、菅井七段の勝利で挑戦の行方は最終第3局へ。

2人の超一流によるプロフェッショナルな攻防をもう1局観戦できるのはファン冥利に尽きる。

22日、金曜日。挑戦者は果たして。

 

 

 

かなきち道場新作

今回のかなきち道場は、ノーマル四間飛車党にとって必見の内容。

https://twitter.com/q53AYsmBorYaSxW/status/1084659881439707136?s=19

▲35歩に変えて今は▲56歩が主流なんですねφ(..)メモ

両桂が跳ねる形は、魚鱗さんに教えていただいた時に出現したのでとても印象深い。

なるほど、▲33角~▲66角成は手厚い指し回し。これもφ(..)メモ

後手の△44銀型は松尾流に対して、美濃囲いの端が入らないので毎回苦労するんだけど、好きなんだよなぁこの形。

どっちを持っても楽しい。

で、振り飛車側もって勝てるのかって?

はい、よく負けます笑

 

とてもいい動画なので、皆様もぜひ!今後もかなきち道場からますます目が離せない。

 

 

 

かなきち道場 

天下一将棋会雷帝こと、リアルでも全国優勝経験多数の木村氏の研究動画。

その名も「かなきち道場」

天下一で何度か教わった事があるが、その強さまさに「異次元」

攻めのスピードと破壊力が分厚すぎて、ついたあだ名が「ブルドーザー」

ちなみに、私はきれいに平らにされましたとさ笑 

 

最近はいろいろな戦型の主に序中盤の戦い方についてアップされてる模様。エルモ囲いは特に面白く、参考になりました。強くなりたい方はぜひ!!
かなきち道場 エルモ囲い右銀急戦 徹底研究。 - YouTube

今年も残りわずか。

本当にいろいろな事があった濃密な1年。特に、出会いに恵まれた事についてはとても嬉しかった。

 

今日は、昨日に引き続き、将棋世界2月号を熟読。畠山先生と斎藤先生の対談記事は初めて知るエピソードが満載で本当に良かった。

構成・写真を担当された野澤亘伸氏は、情熱的な方だ。今年の6月に天童で開催された名人戦に来られており、縁あって知り合う事が出来た。

著作「師弟 棋士たち魂の伝承」は野澤氏による傑作だ。これについて話を伺った所、取材にものすごく時間をかけて、綿密に準備をされたそうだ。と、同時に取材に応じた棋士の先生方に深く感謝していますとの事だった。

まだ読まれていない方には、ぜひオススメしたい。

もう1冊読んだ本は、今泉健司先生の

中飛車の新常識」だ。

帯と前書きに「魂」という言葉が出てくるが、読みながら今泉先生の情熱が伝わってきた。特に自戦記は楽しく読ませていただいた。盟友のあべしん君が絶賛していたのも納得。繰り返し読んで、中飛車を学んでいきたいと思う。こちらもぜひオススメしたい。

 

今年印象に残った出来事は、将棋

関係ではずばり、「二千局盤来」だ。

参加者は遠くは北海道から福岡まで全部でなんと、4760人。老若男女、様々な人達が天童に終結した。当初は人がなかなか集まらず、記録達成は困難と思われていただけに、感慨深いものがあった。屋外開催だったので心配された天候も快晴と絶好。

私は専門家証人という立場で運営として参加。要は、対局が終了したかを判断する仕事である。担当したのは120面、240人。

ギネス公式審査員の方の

「スリー、ツー、ワン、Go!」の掛け声と共に、4760人が一斉にお願いしますと一礼。 

その光景を見た瞬間

「………!!!!」

言葉にはならない熱い感動が沸き上がってきて、私もお願いしますと一礼。

あの光景は一生忘れられないだろう。

対局はあっという間に次々と終局。至る所で、「終わりましたー」と手が挙がり、てんてこ舞いに。終局図は様々で、1手詰めまで指している方が非常に多かった。次に多かったのが王手見逃し。角の王手をうっかりされた方々が多かったようだ。中には、「え?この終局図は途中何があったのσ( ̄∇ ̄;)?」と思わず聞きたくなるような対局もあり、認定をしながら苦笑い。規定の1時間が過ぎ去る頃には秋なのに汗だく。しかし、これ程気持ちのいい汗は今後ないかもしれない。

そして、見事に2362局の新記録達成!!


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今も、大歓声と拍手や喜びの声が脳裏に焼き付いている。私は対局者として参加していた友人の飴と喜びを分かち合った。

これをきっかけに将棋を楽しむ人がもっともっと増える事を、心から願っている。

 

そして、今年1番印象に残ったことは…

尿管結石になった事σ( ̄∇ ̄;)笑

笑ってつけたけど、まじで全く笑えなかったです、まじで笑笑

これ、読者の中に経験された方はいるんだろうか?筆舌に尽くしがたいどころか、今まで生きてきた中で超ダントツに痛かった。(失恋の痛みも含む笑笑)

本当に、まじで痛かったです。まじで。

うー、書いてたらいろいろと思い出してきた(ヾ(´・ω・`)

来年の作戦は、体大事にだな、うんσ( ̄∇ ̄;)

 

というわけで、今年もたくさんの方々に大変お世話になり、本当にありがとうございました!感謝してます。

また来年もよろしくお願いいたします。

それではよいお年をお迎えください。

 

 

 

広瀬章人新竜王

竜王戦が決着してから約10日あまり。

広瀬章人竜王の勢いが止まらない。

順位戦王位戦と連勝して今年の対局を終えられた。36勝11敗、勝率7割6分6厘は驚異的な勝率だ。

年明け早々には豊島二冠との順位戦があり、さらに棋王挑戦と今後の活躍から目が離せない。

 

広瀬先生といえば、当時の深浦王位に挑戦した第51期王位戦での大激戦が印象深い。四間飛車穴熊を連採し、見事に4勝2敗2千日手で王位を獲得。決着局となった第6局は、将棋大賞の名局賞にも選ばれている。

私自身、四間飛車穴熊はとても愛着があり、長年主力として苦楽を共有した間柄。

それだけに広瀬先生の活躍は嬉しく励みになった。

 

指し回しはもちろんだが、何より驚いたのがその駒組である。

穴熊にする場合、▲28銀とハッチを閉めた後は、▲39金までがセットだという概念が私にはあった。しかし広瀬流は、その39に金を寄せる1手を中央に使い、先行を狙い積極的にリードを奪いに行く。

私の中では升田幸三賞である。一生かかっても浮かばない構想に感動し、心酔した。

そして、王位獲得後に程なくして「四間飛車穴熊の急所」と「広瀬流四間飛車穴熊勝局集」が出版された。

どちらも面白すぎて、むさぼるように読んだ。特に勝局集は前書きを音読し、全50局を暗記するほど、盤に並べて何度も何度も再現した。その度に新しい発見があり、将棋の面白さを再認識したものだ。

また、以前に出版された「とっておきの相穴熊」はアマ強豪の遠藤正樹氏との共著でこれも名著であり、非常にオススメしたい1冊だ。

そんな事をいろいろ考えていたら、

当時の様子がまた知りたくなり将棋年鑑を紐解いてみた。

すると、1局の棋譜が目にとまった。

王位戦の挑戦者決定戦の羽生先生との将棋だ。この将棋は有名な▲22馬が炸裂した将棋、と言えば思い出される方もいるかもしれない。

ハイライトはこの場面だ。

平成23年将棋年鑑239ページ▲広瀬章人五段対△羽生善治名人(肩書きはいずれも当時)より棋譜の一部を引用」

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今、羽生先生が△47馬と金を取った所。

これに対して▲同銀は△57金があるので、私は▲同馬の1手だと思っていた。

ところが、広瀬先生は24分考えて▲同銀。え!?△57金にはどうするんだろう?羽生先生は△57金を選択。それに対してノータイムで▲55馬。銀がただなんだが一体これは…


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そして、羽生先生が△47金と取った場面。ここからまたもノータイムで▲22馬が鮮烈な一着。天王山の馬を捨てて、△同金に▲31銀。55角との連動もあり、一気に寄り筋に。一瞬の出来事に言葉を失った。

以下も流れるような手順で即詰みに討ち取り、制勝。

また、広瀬流の四間飛車が観れる日は来るのだろうか。楽しみは尽きない。

 

実は、広瀬先生とは5年前にお会いした事がある。子供大会の審判長で来県され、その時にお話しさせていただいた。

当時、四間飛車穴熊勝局集はいつもカバンに入れて持ち歩いていたので、感想と感謝を伝えると、広瀬先生の相好が崩れた。

「それはとてもありがたいですね。良かったらサインしましょうか?」

いいんですか?と驚く私をよそに、

「もちろんです。」

筆ペンを丁寧に、ゆっくり運び、文字を綴る広瀬先生。

私は緊張した面持ちと興奮でそれを見つめていた。

どうぞ、と言って渡された本に書いてあった言葉は

「飛躍」

一生の宝物となった。

その後、広瀬先生の指導対局を観戦。

柔らかく、丁寧に駒を運び、ほとんど駒音を立てずに指されていた。

子供へのアドバイスも優しく、褒められた子供は皆、とても嬉しそうな顔だった。

 

その後は、より一層広瀬先生の本を読み込み、四間飛車穴熊をエース戦法として確立。県内はもとより、他県の強豪とも互角に戦えたことは大きな自信となった。

最後に昔撮った四間飛車穴熊の動画を紹介。

対戦相手の魚鱗さんは、元大阪竜王名人、その他代表多数の超強豪。

え?紹介するからには勝ったのかって?

ハハハ、そこは動画をご覧いただけたら幸いですσ( ̄∇ ̄;)笑


[中級者向けVS天下一将棋会のスーパースター - YouTube

 

 

 

竜王戦決着

ついに竜王戦が終わった。
終局から随分時間が経つが、興奮が覚める気配はない。
広瀬章人先生が4勝3敗で初の竜王獲得。連敗の苦しい出だしから追いつき、最後に栄冠を手にした形だ。
最終局もじりじりした展開から、見事に抜け出した。じっと▲56馬と活用した手が特に印象深い。終局後のインタビューで静かに丁寧に言葉を紡ぐ姿が印象に残った。

羽生善治先生は惜しくも敗れた。
終局後、広瀬先生のインタビューの後にマイクが向けられた。
その瞬間、全身の細胞がざわめく。
羽生先生の毅然としたその姿に胸が押し潰されそうになった。だが、力をつけてまたチャンスをつかめたらという力強い言葉に驚き、そして感動した。
敗れてなお強し。羽生先生に対する畏敬の念は、ますます深くなった。

広瀬先生、初の竜王獲得、誠におめでとうございます。
名勝負を見せていただき、羽生先生と広瀬先生に感謝の気持ちで一杯です。
本当にありがとうございました。

羽生先生はきっと帰ってくる、タイトル戦の舞台に。きっと必ず。